大人の隠れ家の求人ブログ
担当:池田
🌙【第9話『もう一度だけ、ちゃんと頑張ってみたかった─あの子が戻ってきた理由』】
仕事をしてると「辞めます」って言葉は珍しくない。
正直何度聞いても慣れないけど、それが現実。
だから、辞めていった子が戻ってきたときはやっぱり驚く。
営業後事務所の扉を開けて立っていた彼女の姿は少し現実離れして見えた。
「もう一度働かせてください」
そう言われた瞬間ちょっと笑ってしまった。
その一言が嬉しかった。
⸻
◆辞める理由と、戻る理由
辞める理由は、無数にある。
人間関係、体力、家庭、気持ちの問題。
でも、戻る理由は驚くほど少ない。
そのひとつが「もう一度だけやってみたい」だった。
たったそれだけの言葉に、人が人生を変える力が宿ることがある。
⸻
「もう一度」その言葉に込められた希望はたぶん誰にでもある。
自分の中で「一度やってみる」って感覚は意外と強い。
リセットしたくなる瞬間って誰にでもあるはず。
その気持ちを笑わず受け入れる。
それを受け止める場所を作り続けること。
それが僕の役目なんだろう。
難しい理由なんてなくてただ「もう一度」。
その繰り返しで続いてる。
ーーーー
▶次回予告
「頑張りたい」と言ったその子が、
次の日に笑いながら口にした“ある一言”。
それが店の空気を変えた。
🌙【第8話『腹減ったな〜…なんか食うか
”笑顔がこぼれた夜。』】
週末の夜。
その日は全員出勤で
珍しくバタバタした1日だった。
終わった後、スタッフで
「腹減ったな〜…なんか食うか」って話になって、
待機してた女の子も巻き込んで
近所の焼肉屋へ。
気づいたらスタッフ3人
女の子2人の感じの食事会に。
⸻
若いスタッフが
生センマイが来たあたりから、
「これ初めて食べました、こっぱうまいですね」って言ったのがきっかけで、
少しずつ笑いが増えていった。
ごはん食べながら、くだらない話をして、
途中で「この店の裏話教えてくださいよ」って聞かれて、
店長がちょっと焦ってたのも笑えた。
⸻
「誰かとこうやって食べるの、いつぶりだろ…」
それを聞いて、場の空気が少しあたたかくなった。
若いスタッフが「ここ入ってよかったと思ってくれた?」って軽く聞いたら、
その子はちょっと笑って「はい、思ってますよ」って答えた。
⸻
この仕事って、基本ひとりで戦うような面もあるけど、
こういう“ちょっと息抜きできる時間”があるだけで、
なんか救われることもある。
別に仲良しグループじゃなくていい。
でも、安心できる空気があるかどうかって、
働く上ではかなり大事なんだと思う。
⸻
このブログを読んでるあなたへ。
「人付き合い苦手かも」って思ってる子も多いと思う。
誰かとふっと笑える瞬間がある職場です。
派手じゃないけど、
働いてて“ちょっとほっとする”って、わりと大事ですよ。
⸻
▶次回予告
『「もう一度だけ、ちゃんと頑張ってみたかった」──あの子が戻ってきた理由。』
🌙【第7話『「今日もがんばったな」って、ひとりで思える夜が増えた──“静かな自立”の話。』】
ちょっとずつ、生活を整えたいだけで…」
面接でそう言った彼女は静かで物腰のやわらかい子だった。
ガツガツしてるタイプではなく、
「私なんかにできるのかな」って不安を抱えながら来た感じ。
でも、その“控えめさ”の中に、ちゃんと意志があった。
⸻
彼女は、最初から何かを飛び越えるような働き方はしなかった。
ただ、一日一日を丁寧にこなしていった。
誰かに褒められたくてやっているわけでもない。
たぶん、「自分の生活を、自分の手でなんとかしたい」
それだけだったと思う。
⸻
最初の1ヶ月は、特に何も“目立つ出来事”はなかった。
ただ静かに、ちゃんと出勤して、ちゃんと帰っていた。
けれど2ヶ月目くらいから、
施術中の会話に少しずつ笑顔が増え、
お客様からのリピートも自然と増えていった。
⸻
彼女は結局、3ヶ月で辞めた。
「次の仕事が決まりました」と言って。
最後の挨拶は、短くて静かだったけれど、
来たばかりの頃とはまるで違って見えた。
⸻
このお店は、“自分を立て直す場所”にはなれると思っている。
「少しずつ、マシな自分になっていく」
そんな女の子の背中を、何度も見てきた。
⸻
今このブログを読んでくれているあなたへ。
頑張りすぎてもしんどいし、焦っても空回りする。
だから、最初の一歩は静かでもいい。
「今日も、自分なりにちゃんとやった」
そんなふうに思える夜が増えていくことを、
うちはいちばん大事にしたいと思ってます。
⸻
▶次回予告
『腹減ったな〜…なんか食うか
”笑顔がこぼれた夜。』
🌙【第6話『「今まで、こんなふうに働けたことなかったです」逆転劇』】
面接に来たとき、彼女はとにかく不安そうだった。
表情もかたく
「あ、この子は相当“人間関係”で苦労してきたな」とすぐに分かった。
「たぶん…私、うまくいかないと思います…」
面接でそんなこと言う子なかなかいません。
でもそこに嘘がない分逆に信用できた。
⸻
最初の1週間は、案の定緊張でガチガチ。
お客様にも気を使いすぎて空回りしたり、
帰り道に「すみません、迷惑かけてないですか?」って連絡が来たり。
変なプライドがない分人の話を素直に聞ける子だった。
⸻
少しずつ空気が変わり始めたのは、
2〜3週間が経った頃。
「今日、常連のお客様に“また来てほしい”って言われたんです」
と、うれしそうに報告してきた。
目がちょっとだけキラキラしてた。
きっと、久しぶりに“肯定された”感じがしたんだろう。
⸻
そのあとも、彼女は地道に積み重ねていった。
無理せず、焦らず、でもちゃんと丁寧に。
⸻
誰にでも最初は不安がある。
でも、それを少しずつ越えていける子がちゃんといる。
あの子がその証明だった。
⸻
「人見知りだし、人間関係が怖い」
そんなふうに思っているなら、無理に自信を持たなくて大丈夫です。
最初は小さな一歩でも、
それをちゃんと受け止めてくれる場所があれば、
人は思ってるより強くなれます。
うちは、そういう場所でありたいと思っています。
⸻
▶次回予告
『「今日もがんばったな」って、ひとりで思える夜が増えた──“静かな自立”の話。』
🌙【第5話「ただ稼ぐ」じゃなかった。“あの子”が選んだ生き方。】
「お金が目的なんです」って子はよく来ます。
それが普通なんで面接でそう言われても驚きません。
でもその子はちょっと違いました。
20歳受け答えは丁寧なんだけど
「とにかく稼がなきゃ」っていう焦りが声にも動きにもにじんでた。
⸻
でも不思議と真面目で器用。
施術はちゃんとしてるし、
接客も自然体で、どのお客さんからも「また呼びたい」って言われる。
本人は「全然自信ないですけど…」って言うけど、
そもそもそういう子の方がお客さんにちゃんと届くんですよね笑
⸻
半年くらい経ったある日
こんなことを言いました。
「最初は“ただ稼ぐだけ”って思ってたけど、
最近は“どう働くか”もちょっと大事だなって思うようになってきました」
こっちはその変化が嬉しくて、
「笑、成長したじゃん笑」って思ったけど
本人は照れたように笑うだけでした。
⸻
あの時の表情は最初に来たときの彼女とまるで違っていて。
少し肩の力が抜けたように見えました。
⸻
この仕事は確かに「稼ぐため」に来る子が多いです。
それでいいと思ってます。
でもちゃんと向き合って働くうちに、
“お金以外の何か”を見つけていく子がいるのもまた事実です。
それが「自分の働き方」とか「人との距離感」だったり、
ちょっとしたことだったとしても、
その変化って、すごく大事なんだと思ってます。
⸻
もし今「とにかく稼がなきゃ」って気持ちがあるなら、
それで大丈夫。
でも、ここで働いていく中で、
“思ってもみなかった自分”に出会えることもあるかもしれません。
そんな場所を、目指しています。
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▶次回予告
『「今まで、こんなふうに働けたことなかったです」──元・ネガティブ最強女子の逆転劇』
『半年経って届いた、たった一行のLINE』
「お店…まだありますか?」
そのLINEが届いたのは、深夜1時を少し過ぎた頃。
懐かしい名前だった。
あの子が卒業してもう1年は経っていた。
すぐに「あるよ」とだけ返したけれどそこに返事はありませんでした。
⸻
彼女がいたのは、ほんの2ヶ月間。
“人見知りだけど、気配りだけは負けない”──
そんな子だった。
人との距離を測るのが上手で、
でも、どこかずっと一人で戦ってるような雰囲気があった。
「目標金額を達成したら辞めます」
そう言って、本当に2ヶ月きっかりで店を離れていった。
去る時も、あっさりだった。
最後の挨拶も、事務的で。
「冷たい子だな」と思ったわけじゃない。
ただ、あの子なりに自分を守っていたのだと思う。
⸻
そのLINEから数日後、
返信がきて近くまで来たというので
外で少しだけ会った。
「また目標が出来ちゃいました。」
静かに、そう呟いた。
⸻
“ただ稼げる場所”を探していたら、
きっと他にもいくらでもあったと思う。
でも、彼女がここを思い出してくれたのは──
たぶん、“働く自分が嫌いにならなかった場所”だったのか。
⸻
このブログを読んでくれているあなたへ。
もし今、どこにも居場所がないと感じているなら、
焦って答えを出さなくてもいい。
1年経っても、帰ってきたいと思える場所があること。
それが、人生にとってどれだけ大きいか。
⸻
▶次回予告
『「ただ稼ぐ」じゃなかった。“あの子”が選んだ生き方。』
「週1で、短期間だけ働きたいんです」
年齢は20代。
昼間はコールセンターで働きながら、家では年老いた母親の介護をしているそんな生活をしていた。
週1で様子を見ながら少しずつ。
会話も少なくどこか距離を置いているような子だったけれど、
どのお客様にも丁寧に気持ちを込めて接していたのが印象に残っている。
⸻
ある日精算途中に彼女が言った。
「母に新しいベッドを買ってあげたいんです」
豪華な買い物でもブランドでもない。
ひとつの親孝行。
それが“その子の目標”なら、僕達は応援したいと思った。
⸻
それから1年。
彼女は黙々とシフトをこなした。
決して無理はせずでも一日一日を真剣に積み重ねた。
背中で努力が伝わってくる子だった。
そしてある日。
「今月で卒業したいです」とLINEが届いた。
⸻
僕達はいつも通り
卒業祝いを渡した。
彼女は受け取って、一言だけ
「ありがとうございました」と言ったあと笑ってくれました。
この仕事は誰にでもできる仕事じゃない。
けれど、「何のために働くのか」が明確な子ほど、静かに強くなっていく。
彼女が選んだのは派手な成功ではない。
静かな決意と小さな夢を叶えるための働き方だった。
⸻
このブログを読んでくれている方へ。
今あなたが、
「稼がなきゃいけない」
「でも、どこにも頼れない」
そんな気持ちの中にいるのなら──
無理に笑わなくてもいい。
言葉にしなくてもいい。
この“隠れ家”は、あなたの物語を大切に受け止めます。
⸻
▶次回予告
『半年経って届いた、たった一行のLINE』
何年か前の夏でした。
面接に来たのは、22歳の女の子。
声が小さく、でも妙に大人びていた。
「前の店で、色々あって……それで辞めました」
そう言って、ほとんど何も語らなかった彼女。
名前も、本名かどうかは今でも分かりません。
うちは未経験でも歓迎なので、彼女のことも受け入れました。
最初の施術は震えていたけれど、1週間もすると、お客様から指名がつくようになった。
⸻
ある日、ふいに聞いたんです。
「夢とか、あるの?」って。
彼女は少し黙って、
「うーん…安心して寝たい、ですかね」
と笑いました。
その時、何かが引っかかりました。
でも詮索するのはルール違反だと思って、何も聞きませんでした。
⸻
ある日を境に、彼女は出勤しなくなりました。
連絡も取れず、LINEも既読にならない。
最初の1週間は「他の仕事が忙しいのかも」と思ってた。
でも、なんとなく分かってました。
もう来ないだろうなと。
⸻
あの時、もっとちゃんと話を聞いていれば、
無理にでも引き止めていれば、
何か変わっていたんじゃないか
今でも、ふと思い出す時があります。
⸻
この仕事には、明るい話ばかりじゃありません。
でもそのぶん、「ちゃんと守る」「ちゃんと向き合う」っていう姿勢が本当に大事だと、彼女に教えてもらいました。
だから今、面接で来てくれる子には必ず言います。
「ここでは、無理をしなくていいから」と。
⸻
このブログを見てくれているあなたが、もし
「過去に働いて嫌な思いをした」
「傷つくのが怖い」と思っているなら、
それでも、もう一度だけ信じてみてほしいんです。
うちは、そういう場所になりたくて、この店をつくりました。
⸻
▶次回予告
→「卒業していった女の子の話」
⸻
『隠れ家には、過去を背負った女の子たちが集まります』
― 代表の過去と想い ―
はじめまして。
このメンズエステの代表をしている者です。
僕自身、若い頃はまともでは無かったです。
昼より夜に生きていたしまともに人と向き合えなかった時期もありました。
お金に執着しすぎて大事な人や信頼もいくつか失いました。
でもそんな中でもふと、
「誰かに居場所を作れるような人間になりたい」
そんな気持ちが心の奥に残っていて。
それがこの店の“はじまり”です。
⸻
当店は、いわゆる「華やかなメンエス」ではないかもしれません。
でも、地に足がついた店である自信はあります。
来てくれる女の子の中には、
・若いけど落ち着いてる子
・ひとりで子どもを育てながら必死なシングルマザー
・人に言えない過去を抱えた子
・何も分からないまま飛び込んできた素人の子
…そんな子たちが多く在籍しています。
そして僕は、彼女たちを「商品」じゃなく「一人の人間」として向き合ってきました。
⸻
僕が面接で大切にしてるのは、見た目だけじゃありません。
話し方や礼儀、その子の目の奥にある“覚悟”や“優しさ”のようなものを見ています。
「ちょっと変わりたい」
「もう騙されたくない」
「今度こそ、自分の力で稼ぎたい」
そう思ってる子に、うちは合う店だと思います。
⸻
目標金額があるなら、一緒にプランを立てます。
卒業するときには、卒業祝いを渡します。
だってこの店は、「過去の自分に与えたかった場所」を形にしたものです。
⸻
当店は、静かで、優しくて、そしてちょっと強い。
そういう“隠れ家”です。
⸻
▶次回予告
・『救えなかったあの子へ。』
次回以降は、もっと中身を深掘りしていきます。
ページをめくるたび胸がざらつ。
善悪なんて曖昧で、努力や誠実さが確実な救済になるわけでもない。
人は追い詰められた時、思考より先に生活が崩れる。
プライドより先に、欲と恐怖が姿を見せる。
ウシジマくんはそれを静かに映す鏡だと思った。
作中で誰が悪いのかと考えると、答えはどこにもない。
加害者も被害者も役割でしかなく、
ただ弱さと選択が連鎖していくだけだ。
借金も堕落も依存も、一夜にして起きない。
小さな妥協、小さな逃避、小さな約束の破綻が積もり、
ある日突然、人生が音を立てて崩れる。
怖いのは暴力ではなく、リアルさだ。
堕ちるプロセスが現実と地続きであること。
手を伸ばせば触れられそうな距離に地獄があること。
お金は尊い。
だが同時に残酷。
お金そのものが人を汚すのではなく、
お金の不足が本性を露出させる。
優しかった顔が歪み、友が敵に変わり、
情が甘さに変わった瞬間から縁は腐り始める。
それを誤魔化さず描く作品だからこそ重い。
そして読みながら思った。
経営者が情に溺れると組織は死ぬ。
助けたい気持ちは美しいが、現実は数字で動く。
救う責任を背負えないのなら、情は毒になる。
切ることは冷酷ではなく、未来を守る選択になる。
捨てるのではなく、線引きを持つということ。
その判断を下す手が震える夜を、経営者は知っている。
ウシジマくんは救いを用意しない。
奇跡も綺麗な逆転も用意しない。
それなのに、読後に残るのは希望に近い感情だ。
なぜか。
現実を直視した者だけが、前に進めるからだ。
甘さを削ぎ、欲を制し、自分の弱さと向き合う。
その覚悟を持てた時、人は強くなる。
作品の残酷さは、むしろ生きるための指南書のようだ。
これは闇の漫画ではない。
現実を生き抜くための教科書だ。
静かに思う。
優しさは大切だ。
だが流されない優しさでなければ意味がない。
守るべきものを守るためなら、冷たさすら必要だ。
それを言葉にしないまま突きつけてくるのが、
ウシジマくんという作品の恐ろしく正直な美しさだと思う。
スタッフを育てるのは親のような気持ちになる。
最初は何も知らなくてぎこちなくてそれでも一生懸命な姿を見てると、
「伸びる」「守ってやりたい」と思ってしまう。
ご飯を一緒に食べて話を聞いて、悩みも一緒に背負って。
時には怒って、時には笑って。
まるで家族みたいに過ごす時間が増えるほど、距離が近くなる。
だけどその距離は、時に毒になる。
こちらが「仲間」だと思ってる間に、相手は「上手く利用できる人」になってることがある。
金、居場所、甘え。
与えすぎた優しさは、いつか依存に変わる。
そして、裏切りはいつも突然だ。
笑顔の裏に、もう違う考えを持っていることもある。
それを見抜けなかった自分が、いちばん情けない。
それでも、俺は人を可愛いがることをやめられない。
裏切られても、傷ついても、結局は“人”で成り立つ商売だから。
人を信じなきゃ、何も始まらない。
だから俺はまた新しいスタッフに言う。
「頑張ろうな」って。
裏切られても、信じる勇気を捨てたくはない。
世の中はきれいごとだけじゃ回らない。
政治でも商売でも、人を動かすのは理屈じゃなく情だ。
田中角栄という男は泥に足を突っ込みながら、
人の痛みを知り、人の腹の中を読んで、
その上で人を信じた。
「裏切るより、裏切られた方がいい」
そう言える人間が、今どれだけいるだろう。
俺も母親によく言われた。
角栄は“金権政治”と叩かれた。
だが、彼がばらまいたのは金じゃなく希望だった。
誰にも見捨てられてきた雪国に、道を通し、電気を灯した。
貧しい家に生まれた子どもたちに、未来を与えた。
そのやり方が汚く見えたのは、
清潔な手で何も変えようとしない人たちの目線だ。
泥の中に立ち続ける者だけが、
泥に咲く花の美しさを知っている。
経営も同じだと思う。
理想を語るより、今日を回す。
信じた仲間に裏切られることもある。
だが、信じることをやめた瞬間に、
人も店も終わる。
泥を恐れるな。
泥にまみれてでも、
咲く花の方が、ずっと綺麗だ。
腹を決めて生きるということ
葉隠入門を読むと今の時代でも通じる言葉が多い。
結局人は 覚悟があるかどうか で強さが決まる。
商売をしているとそれを嫌でも思い知らされる。
迷いながら動く人間は、判断も遅れ信用も薄くなる。
逆に腹を決めた人間は、言葉が少なくても一本通ったものがある。
強がりでも虚勢でもなく、静かな芯の強さ。
この世界で長く生き残るのはだいたいそういうタイプだ。
葉隠には“義理”と“情”の話が何度も出てくる。
昔の武士の話だけど今の世の中でも同じ。
義理を欠いた人間は、どれだけ金を持ってても周りが離れていく。
情を持てる人間は、不思議と誰かが守ってくれる。
結局、商売も人間関係もそこが土台になる。
本音を見抜く目も綺麗ごとでは育たん。
嘘つく人間、逃げる人間、筋を通す人間。
苦い経験を重ねるほど、その違いがはっきり見えてくる。
葉隠の人間観は、そんな“感覚”に妙に合う。
読み終えて思ったのは一つだけ。
迷いは弱さを呼び覚悟は道を開く。
それを忘れずに今日も一日中働く。
「裏切るのも人間、許すのも人間だ。」
この業界を長く見てるとこの言葉が骨に染みる。
どんなに面倒を見ても
どんなに金を渡しても、
人は裏切るときは裏切る。
だが、裏切りに怒り続ける経営者ほど、
長くはもたない。
怒りは燃料にはなるが、灯にはならない。
照らす側でいたいなら、
“許す”覚悟を持たなきゃいけない。
夜の世界は感情で動く。
愛憎も、恩も、裏切りも、みんな紙一重だ。
昨日まで「代表、大好きです」と言ってた子が、
翌週には他店のプロフィールで笑ってる。
そんなこと、珍しくもない。
でも、いい。
そういう世界なんだ。
みんな何かを守るために嘘をつき、
生きるために誰かを裏切る。
それが人間だろう。
田中角栄は金も権力もあった。
それでも最後は孤独だった。
けれど、あの人のまわりには
恩を忘れない人間が必ずいた。
人を信じ続けた者だけが、
最終的に“信じられる側”になる。
俺も、裏切りを恨まない。
ただ静かに距離を置き、
また新しい誰かを信じる。
この夜の街で、泥をかぶってでも人を守る。
損をしても良い、それで良い。
世の中はきれいごとだけじゃ回らない。
政治でも商売でも、人を動かすのは理屈じゃなく情だ。
田中角栄という男は泥に足を突っ込みながら、
人の痛みを知り、人の腹の中を読んで、
その上で人を信じた。
「裏切るより、裏切られた方がいい」
そう言える人間が、今どれだけいるだろう。
俺も母親によく言われた。
角栄は“金権政治”と叩かれた。
だが、彼がばらまいたのは金じゃなく希望だった。
誰にも見捨てられてきた雪国に、道を通し、電気を灯した。
貧しい家に生まれた子どもたちに、未来を与えた。
そのやり方が汚く見えたのは、
清潔な手で何も変えようとしない人たちの目線だ。
泥の中に立ち続ける者だけが、
泥に咲く花の美しさを知っている。
経営も同じだと思う。
理想を語るより、今日を回す。
信じた仲間に裏切られることもある。
だが、信じることをやめた瞬間に、
人も店も終わる。
泥を恐れるな。
泥にまみれてでも、
咲く花の方が、ずっと綺麗だ。
店の空気って、不思議だ。
同じ照明、同じ部屋、同じ香りなのに、
人の流れが少し止まるだけで、
まるで時間そのものがゆっくりと沈んでいく。
この時期は、いわゆる“閑散期”。
カレンダーが冷たく進むように、客足もどこか控えめになる。
でも、この静けさが嫌いじゃない。
むしろ、ここにこそ「隠れ家」の本質がある気がする。
賑やかさに隠れて見えなかった“人の芯”が、こういう時ほど見えるからだ。
キャストたちも、こういう時期に成長する。
「最近ちょっと指名減ったんです」とか、
「ブログ、書いてみようかな」とか、
小さな変化を自分の中に見つけて、
それを行動に変える子が出てくる。
それが何より嬉しい。
派手なイベントやSNSの波に乗ることも大事だ。
けど、どんな店も、どんな人も、
“静けさに何をするか”で、本当の強さが決まると思う。
売上が落ちたとき、焦るよりも、
磨く。見直す。整える。
人も店も、静かに力を蓄える時間が必要なんだ。
秋の夜風が少し冷たくなってきた。
そんな中でも灯りを絶やさずに、
一人でも帰ってきてくれるお客様を温かく迎えられるように。
それが、隠れ家という場所の“意味”だと思っている。
静かな夜にこそ、
灯りの美しさは際立つ。
新人スタッフが言った一言が今も耳に残っている。
「女の子たちって思ってたより普通なんですね」
彼は驚いたように笑っていた。
その言葉に僕もつい笑ってしまった。
そう、普通なのだ。
誰かの娘であり、友達であり、ただ日常を生きている女の子たちだ。
そこに事情や背景が重なっているだけで、本質は変わらない。
働いている姿ばかりを見ていると忘れがちになるけれど、
待機中に眠そうにあくびをしたり、
スマホのゲームに熱中していたり、
友達の愚痴をこぼしていたり。
その何気ない素顔こそが一番リアルで愛おしい瞬間だ。
新人スタッフの目には、それが新鮮に映ったのだろう。
「普通なんですね」その一言に、この仕事のすべてが詰まっている気がした。
この業界に入って
いろんな人と出会った。
支えてもらったこともあれば、支えきれなかったこともある。
感謝と後悔が入り混じって、心の奥に沈殿している。
それでも、最後に残るのはやっぱり人の表情だ。
泣き顔よりも、怒った顔よりも、ふとした笑顔。
あれがあるから、自分もここまで歩いてこられたのだと思う。
人は特別な瞬間よりも、普通の一瞬に救われるのかもしれない。
何も起きない夜、交わした小さな会話、
そして「普通ですね」と笑われた瞬間。
そういう断片が、静かに心に積もっていく。
これで一区切り。
この余白の先に、それぞれの物語が続いていきますように。
新人スタッフというのは最初は何もかもが新鮮だ。
慣れてしまえば見えなくなることを、彼らは素直に口にする。
入って数日の若いスタッフが、片付けを手伝いながらこう漏らした。
「この仕事って…思ってたより難しいんですね」
最初は、ただの一言に聞こえた。
だが、あとになってじわじわ効いてきた。
彼は最初、メンズエステというものを「楽に稼げる」「女の子が働いているだけ」と思っていたらしい。
でも、実際に電話を取って、お客様に予約を案内して、
女の子の待機中の表情やちょっとした愚痴に触れて、
「ここは仕事場である前に、人と人が交わる場なんだ」
そう感じたんだろう。
経営者にとっては当たり前のことでも、
新人にとっては“発見”なんだ。
そして、その発見があるから、組織はまた新しい空気を取り込める。
数字や戦略を追うのは経営者の仕事だ。
だが、女の子が「ここなら頑張れる」と笑う瞬間や、
スタッフが「ここは思ったより人間くさい」と呟く瞬間に、
本当の意味で店の価値は宿るんだと思う。
あの日の彼の言葉は、ありふれていたけど、不思議と耳に残った。
その“ありふれた視点”こそが、僕には一番欠けがちだから。
⸻
▶次回予告
新人スタッフが目にした「女の子たちの素顔」。
そこにあったのは、想像よりもずっとリアルで、温度のある日常だった。
🌙【第10話「頑張りたい」と言ったその子が、次の日に笑いながら口にした“ある一言”。それが店の空気を変えた。】
人は一度つまずくと立ち直るよりも逃げるほうが楽だ。
だから「もう一度頑張りたい」という言葉には軽さと重さが同居している。
「また出勤していいですか?」
LINEが入ったのは夜中の2時を過ぎた頃だった。
こういう連絡は珍しくない。
“辞めるつもりだった子が戻りたいと言う”メンエスではよくある話だ。
ただし大事なのは言葉じゃなくて行動。
どれだけ強い気持ちを並べても翌日に顔を出さなければそれまでだ。
だから正直、期待はしていなかった。
けれど次の日の昼。
「おはようございます!」
笑顔でそう言った瞬間事務所の空気がふっと変わった。
事務所のスタッフが「おぉ、戻ってきたんだ」って軽く笑って、
店長も「おかえり」みたいな表情をして。
それまでのピリついた雰囲気が、嘘みたいに柔らかくなった。
僕に向かって彼女が言った。
「来ないと思ってたでしょ?笑」
冗談みたいに笑っていたけどその奥には決意がにじんでいた。
逃げるのは簡単だったはずだ。
でも彼女は“戻る”という一番しんどい選択をした。
仕事が上手くいくとか、稼げるとか、それももちろん大事だ。
けれど「ここなら、もう一回やり直してもいいかも」って思える空気をつくれるかどうか。
その空気を守るのが、僕の仕事なんだと改めて思った。
⸻
▶次回予告
新人のスタッフがぽろっと言った一言。
「代表、この仕事って思ってたより○○ですね」
🌙【第9話『もう一度だけ、ちゃんと頑張ってみたかった─あの子が戻ってきた理由』】
仕事をしてると「辞めます」って言葉は珍しくない。
正直何度聞いても慣れないけど、それが現実。
だから、辞めていった子が戻ってきたときはやっぱり驚く。
営業後事務所の扉を開けて立っていた彼女の姿は少し現実離れして見えた。
「もう一度働かせてください」
そう言われた瞬間ちょっと笑ってしまった。
その一言が嬉しかった。
⸻
◆辞める理由と、戻る理由
辞める理由は、無数にある。
人間関係、体力、家庭、気持ちの問題。
でも、戻る理由は驚くほど少ない。
そのひとつが「もう一度だけやってみたい」だった。
たったそれだけの言葉に、人が人生を変える力が宿ることがある。
⸻
「もう一度」その言葉に込められた希望はたぶん誰にでもある。
自分の中で「一度やってみる」って感覚は意外と強い。
リセットしたくなる瞬間って誰にでもあるはず。
その気持ちを笑わず受け入れる。
それを受け止める場所を作り続けること。
それが僕の役目なんだろう。
難しい理由なんてなくてただ「もう一度」。
その繰り返しで続いてる。
ーーーー
▶次回予告
「頑張りたい」と言ったその子が、
次の日に笑いながら口にした“ある一言”。
それが店の空気を変えた。
営業時間:9:00~29:00
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